みなさん「耐用年数」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 耐用年数は耐久年数とは全くの別物です。不動産やリフォームについての話題で耳にしたことがあるという方もいらっしゃるかもしれません。そこで今回は耐用年数とは何かということをお話した上で、その中でも「物理的耐用年数」について詳しくお話しいたします。
1.耐用年数には3種類ある
耐用年数とは住宅に住んだり、住宅を売ったり、住宅に関わる税金を支払うときに基準となる指標です。耐用年数は次の3つに分けることができます。
1-1.法定耐用年数
法定耐用年数とは国が定めた基準です。減価償却費を計算するときに用います。建物は木造のものやコンクリートのもの、レンガ、鉄筋コンクリートなどさまざまな素材でできています。築年数以外にも建物を構成している素材によって法定耐用年数も違ってきます。同じ築年数の建物でも木造かコンクリートかによって法定耐用年数は変わります。
1-2.物理的耐用年数
物理的耐用年数とは、文字通り物理的に住宅としての機能を満足に保持できる期間を指します。一般的な耐用年数平均は木造建築の場合で65年程度、コンクリート構造は120年程度とされています。とはいっても、これは家の住み方や住んでいる場所、家の素材によって大きく異なるので一概には当てはまりません。メンテナンスを続けることで何千年もその姿を保っている歴史的な木造建築もあれば、海の近くでは塩害によって平均よりも早く劣化が進んでしまう住宅もあります。
1-3.経済的耐用年数
新築一戸建てと築30年の一戸建てでは不動産としての価値は同じではありません。経済耐用年数とは、その物件がどれくらいの期間で不動産価値がなくなるかを示す数字です。しかしこちらもメンテナンスや使用状況により実際の価値は変わります。
2.物理的耐用年数を過ぎると住めない?
3つの耐用年数の中でも今回は物理的耐用年数についてお話します。「物理的耐用年数が過ぎた建物は住めなくなってしまうのか?」と気になられた方も多いのではないでしょうか。物理的耐用年数が過ぎたからといってその建物に住めなくなるわけではありません。物理耐用年数というのはあくまでも目安であり指標です。耐用年数を過ぎてもその建物に住むことはできますし、手を加えながら快適に住み続けることもできます。
3.物理的耐用年数は伸ばせる?
最近はリフォーム事業も充実してきています。リフォームによって家の劣化部分や問題のある箇所を直しながら耐久年数を伸ばしていくことも可能です。また、最近では築年数の長い古い木造建築をリフォームやリノベーションで生まれ変わらせてホテルやシェアハウスとして利用している不動産も多く存在します。築年数の経った建物でもリフォームなどで手を加えることによって住みやすく安全に、そして物理的耐用年数を延ばすことができます。
4.耐用年数を延ばすリフォーム
それでは具体的にどのようなリフォームを行えば、物理的耐用年数を延ばすことができるのでしょうか。
4-1.耐久性を高める工夫
安全に家に住み続ける条件として何よりも大切なのが「耐久性」です。特に日本は地震大国なので地震に備えたリフォームが重要になります。家の基礎部分の見直し、地震が起こったときに崩れない壁や屋根瓦の見直しなど家を支える梁や柱を増やしたり補強したりといったことも効果的です。
4-2.断熱性を高める工夫
特に築年数の経っている木造建築には断熱処理が施されていない場合が多いです。暑さや寒さによる劣化はもちろんのこと、気温の変化の影響を受けやすい家屋では寒暖差による結露が起こりやすくなります。結露はカビや腐食、シロアリ被害の原因となり、家が早く傷んでしまう原因となります。断熱材を取り入れる、断熱効果の高い素材を使ったリフォームを行うことにより耐用年数を延ばすとともに住み心地がよくなる効果もあります。
4-3.工事費用と耐用年数の延びは比例する
手をかければかけるほど、リフォーム費用を費やせば費やすほど耐用年数は延びる傾向にあります。コストを削減したいからといって耐久性の乏しい素材を用いてしまうと耐用年数があまり延びないこともあります。耐用年数を延ばそうと思えば、ある程度の費用は必要と考えましょう。
5.まとめ
耐用年数にはいくつか種類がありますが、私たちが普段の生活をする上で身近になるのが物理的耐用年数です。物理的耐用年数が過ぎた建物には住めないことはありませんが、これからも安全に快適に住み続けるためには、定期的なメンテナンスが必要といえます。築年数の経っている木造建築には耐久性や耐熱性を高めるリフォームを行うことで耐用年数を延ばすことができます。
「株式会社建快」では木造建築や古い町屋のリフォームの実績も豊富です。古い木造建築のリフォームをご検討のときはぜひ一度、当社へお問い合わせください。